ドキュメンタリー映画の肖像権について思ったこと

今話題のドキュメンタリー映画靖国」の話しだけど、出演者である刈谷直治さんが出演シーンと名前を削除してくれと「言った」「言わない」で情報が錯綜してますが


■言った


【内容】
チャンネル桜という右翼偏向番組制作会社が90歳というご高齢の刈谷直治さんに電話で取材のお願いをしたが「もう老夫婦でもあるし自分達の発言が自分達の範疇の及ばないとこで議論になっていて、どうのように影響を及ぼすかわからないのでマスコミには合いたくない」ということでハッキリと断られた、が、卑劣で非常識なチャンネル桜のキャスター・大高未貴が「どうしても取材させてくれ」と強引に老夫婦宅に乗り込んでいき刈谷直治さんに、奥さんが書いたとされる自分が紙に書いた文章を読ませるという手法で「裏切られた気持ちです」「出演シーンと名前を削除してください」と言わせています。

【5/5に上記の赤字部分と打ち消しを追記し訂正しました】
ソースはこちら:http://d.hatena.ne.jp/yamaki622/20080504/p1


■言わない

http://d.hatena.ne.jp/yamaki622/20080415/p1
有村治子議員(自民)が、映画『靖国』に対し、肖像権の侵害などを理由に助成金の返還を求めている問題です。有村議員は、出演者の刈谷直治さんと直接電話で話をし、削除希望を聞いたと主張しています。

結論から先に言えば、映画『靖国』の出演者で刀匠の刈谷直治さんは、出演を了承していらっしゃいます。そもそも有村議員は刈谷直治さん本人とは話さえしていません。ほとんどが作り話だったのです。

一昨日に発売された「AERA」4/21号から引用します。田村栄治記者による4月10日の取材です。

口数の少ない刈谷さんは次のように答えた。

靖国神社に関する映画への出演だと知っていましたか?

「知っていた」

−作品を見て問題があると思いましたか。

「思ってないね」

−監督に自身のシーンの削除を求めたことは?

「ない」

−今後削除を要求しますか。

「いや」


そもそも、この肖像権の問題って李纓監督と刈谷直治さんの問題なんじゃないの。なんでそこに国会議員の有村治子(自民)がしゃしゃり出てきて刈谷さん宅に直接電話とかしてんの? この人には自分が政府与党の議員であるという自覚はあるのでしょうか?

何日か前のTV報道で俳優の*1チャールトン・ヘストン氏(銃の所有権を守る団体NRA・全米ライフル協会の代表)が亡くなったことを知ったんだけど。そのときマイケル・ムーア氏が銃社会の問題を探るべくつくったドキュメンタリー映画ボウリング・フォー・コロンバイン」の映像も紹介されていた。ムーア氏が事件の直後、現場に近いデンバーで銃の展示即売会を強行し「私から銃を取り上げるなら私を殺せ」と演説したヘストン氏の自宅を被害者の遺影を持って訪れ謝罪を要求するが、それに対しヘストン氏は黙り込んで逃げていくあのシーンである。

で、思ったんだけどムーア氏はこの映像を事前にヘストン氏に見せて許可を取ったのだろうか? ヘストン氏はこの都合の悪いシーンを削除しろと言ったのだろうか? このシーンの肖像権を問題にした米国の議員はいたのだろうか?

なんてことをふと思った。

Bowling for Columbine Charlton Heston

*1:4/6 http://www.asahi.com/obituaries/update/0406/TKY200804060059.html十戒」や「ベン・ハー」など戦後のハリウッド映画の代表作で主演し、近年は銃所持を擁護する運動で知られた米国の俳優チャールトン・ヘストン氏が5日、米ビバリーヒルズの自宅で死去した。83歳。(以下略)