イラク、アフガニスタンから帰還した米兵の自殺、戦死上回る?

2008年5月19日(月)付けの赤旗の記事「イラク帰還兵/占領下の市民殺害・民家破壊/米議会は実態調査を」に気になる情報が載っていたので以下にメモしときます。

帰還兵の自殺、戦死上回る?

 イラクアフガニスタンから帰還した米兵の自殺者が、戦闘での死者を上回る可能性があると米政府の専門家が指摘し、波紋を呼んでいます。長引く戦争が、帰還後も兵士をむしばんでいることを改めて印象付けています。

 米メディアの報道によると、この指摘は国立精神衛生研究所のトーマス・インゼル所長が五日、ワシントンで開かれた米国精神医学協会の年次総会で行ったもの。米民間研究所「ランド研究所」が四月、帰還兵約三十万人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っていると推計した報告書(本紙四月十九日付既報)などにもとづいて、「自殺や精神疾患が原因の死亡が戦闘での死亡を上回りかねない」と警告しました。

 帰還兵の70%が国防総省や退役軍人省に対して診療を願い出ていないと指摘。専門の公的医療機関が問題を認識すべきだと強調しました。

 一方、米下院退役軍人問題委員会は六日、ピーク退役軍人長官らを証人に招いて公聴会を開き、帰還兵の自殺問題を取り上げました。

 ピーク氏は帰還兵による自殺行為が月千件以上に上るとの推計を紹介。ところが他の証人から、退役軍人省では自殺者に関する十分なデータが収集されていないことが明らかにされました。

 同委員会のフィルナー委員長(民主)は、自殺者の数を隠ぺいしようとしているとして同省の姿勢を批判。国防総省と退役軍人省が精神面の健康診断をすべての帰還兵に対して義務付けるよう求めました。

 イラクアフガニスタンでの米兵の死者数は五月半ばまでで約四千六百人。帰還兵の自殺者は詳しい統計がありませんが、米陸軍の調査によると二〇〇七年の一年間に自殺を図った米兵は二千百人で、イラク開戦前(〇二年)の六倍となっています。(山崎伸治)

現時点で実際に米軍の帰還兵の自殺者数が戦死者数を上回っているのかは正確なデータが無くはっきりとしないようですが、米陸軍側の調査で2007年の1年間に自殺をはかった米兵が2100人もいることから、相当な数の米兵がPTSDにかかり帰国後、自殺をはかっていることは確かなようです。

【追記】ちなみに、イラクに派兵された日本の自衛隊員の場合はというと、2006年6月22日に額賀福志郎防衛庁長官(当時)が国会で自衛隊員全体の自殺率に比べイラク派兵隊員の自殺率は「2倍ぐらいの数字になっている」と発言しています。
ソース:2007年1月23日 赤旗

米兵のイラク開戦前(2002年)の6倍となっている自殺率はかなり異常な状態ですが自衛隊員の2倍というのも十分に異常な数字ですね。いったい一般人の自殺率と比べたら何倍になるんだか……。

関連リンク

ランド研究所関係記事
2008/4/17 Rainews24 NY発 (イラク・アフガン)帰還米兵60万に機能障害、心的外傷
http://www.asyura2.com/08/wara2/msg/209.html
2008/4/19 赤旗 イラク・アフガン帰還米兵/30万人にPTSD/米研究所推計
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-19/2008041907_02_0.html

■「帰還兵の自殺、戦死上回る?」の英文記事
Suicides of Iraq veterans could top combat deaths(GOVERMENT EXECUTIVE)
http://www.govexec.com/story_page.cfm?articleid=39958&dcn=todays_most_popular