橋下知事「日本は自己責任が原則」…私学助成の不安を訴える女子高生を泣かす

ほんとこの国のネオリベ新自由主義者)達は頭がおかしいんじゃないかと思う。特にこの橋下知事とかね。この人って、学校現場への圧力や格差助長に繋がるおそれのある市町村への予算配分とテスト結果公表の有無を絡めた暴言を平気でしてしまうトンデモ改革者なんだけど、今度は私学への助成金を削減して母子家庭で家計の苦しい高校生を泣かせたようです。


10/24 橋下知事、女子高生を泣かす…意見交換でマジ反論 - ZAKZAK
http://www.zakzak.co.jp/top/200810/t2008102403_all.html

 大阪府橋下徹知事は23日、府の財政再建の一環で断行した私学助成削減をめぐる意見交換で女子高生らにマジで反論して、泣かせてしまった。先日、麻生太郎首相もホテル豪遊に関する女性記者の質問にマジ切れしたばかりだが、最近の日本のリーダーたちは余裕がないのか…。

 府庁内での意見交換会橋下知事は、男女12人の生徒を前に、冒頭から「僕も反論します」と本気モード。母子家庭の私立高男子生徒が、助成削減による不安を訴えると、「いいものを選べば、いい値段がかかる」とやり返した。

 生徒「公立に行ける人数は限られている」

 知事「保護されるのは義務教育まで。高校からは壁が始まる

 生徒「そこで倒れた子はどうなる」

 知事「最後は生活保護がある

 過熱するバトル。知事が「高校は誰でも入れる仕組みになっていない」と畳み掛けると、女子生徒数人が「そんな簡単に言わないで」と泣きだす場面も。

 知事は「私学助成はゼロにしていない」と理解を求めたが、女子高生の1人は会終了後、「思いが全然伝わらず、悔しい」とうつむいていた。


10/23 橋下知事、生徒にマジ反論 「私学はあなたが選んだ」 - 福島民友新聞
http://ime.nu/www.minyu-net.com/newspack/2008102301000953.html

 橋下知事は「私学はあなたが選んだ」「日本は自己責任が原則」と厳しい態度を貫いた。橋下知事は冒頭から「僕も反論します」と本気モード。私立大阪高校(大阪市)に通う母子家庭の男子生徒が、中学でいじめにあったため、学力的に公立に行けなかった事情を説明すると「いいものを選べば、いい値段がかかる。条件を比較して、あなたが選んだのでは」とやり返した。

 知事は「今の日本は自己責任が原則」と強調。一方で「何でもかんでも自己責任はおかしい。だから私学助成はゼロにしていない」と理解を求めた。(抜粋)

10月号の「世界」にはジャーナリストの横田一氏が「橋下改革劇場の舞台裏 – 道路やダムにメスを入れない改革派」というルポ記事を書いているんだけど、それによると橋下徹氏の改革「大阪新プログラム案」では道路やダムなどの大型公共事業の予算はそのままに、教育や医療などの予算は大幅削減するという内容なんだそうです。例えば無駄な道路でいえば新名神高速道路なんかは1キロ180億円もかかるんだって。だったら私学への助成金2628億円)を削らないでそっちをなんとかしろよと思うんだが。


んで、さらにこの件を取り上げたフジのスーパーニュースがまたひどくて

5:48ぐらいから
キャスターの木村太郎氏が憲法89条のパネルを使い

wikipedia:私学助成より

日本国憲法89条
公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

木村太郎氏は)私学は「公(おおやけ)の支配」に属していないから助成は違憲であるかのように決めつけ「なぜこんな憲法があるのか」「憲法を変える必要があるんじゃないのか」「(橋下弁護士には憲法の改正について)大阪の子ども達に教えてもらいたかった。」とコメントしているのだ。

しかしこれはおかしい。なぜならwikipedia:私学助成に詳しく書いてあるけど、「私学助成の合憲性に関しては、下級審の裁判例がある。いずれも、現状の私学助成は合憲であると結論づけている。」となっていて、さらに「政府の見解では、私立学校は公の支配に属し、これに対する公費からの助成も憲法89条後段に反しないとしている」のだ。要するに現状では憲法89条の「公の支配」を緩和的に捉える解釈がなされていて私学への助成金違憲にはあたらないってことだろこれ。てか、なんで憲法の話にすり替えてるかなぁ木村って本物のアホだろ……。


【参照】私学助成(しがくじょせい)について
http://www.laqoo.net/kyoiku/sigaku.html

 私学助成(しがくじょせい)とは、国および地方公共団体が私立学校やその学校に通う生徒の保護者にする金銭的補助です。
 私学助成は、日本では私立学校振興助成法(1975年公布、1976年施行)を根拠とします。
 私学助成は、日本国憲法89条に抵触する恐れがあるとされますが、一条校文部科学省の定めるカリキュラムや設置基準を満たすことによって置かれているので、これが公の支配下に属するという解釈によって私学助成が行われています。

追記

ブクマコメントよりいくつか抜粋

・私学助成は必要ない
・泣こうが泣くまいが資金は限られている
・そんなに勉強したいなら、大検と奨学金の貰える予備校が大阪にはある


補償されなければならない教育機会の均等に対する視点が抜け落ちてる人が何人かいるようなので追記しておくけど、すべての国民には、ひとしく教育を受ける権利というものが補償されていて、保護者の収入によって進路を変更させざるを得なくなり教育を受ける機会を失わせてしまうということは、憲法、第26条の国民は「ひとしく教育を受ける権利」と、教育基本法、第4条の「すべての国民は……経済的地位……によって教育上差別されない」に反するこになります。教育を受けるということは基本的人権の1つであり、経済的理由で妨げられるべきではないんですよ。


参照
「世界一高い学費」を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために/2008年4月16日 日本共産党
大阪私立中学校高等学校連合会 |大阪府下高校教育における機会均等学校選択の自由をめざして 試論 主旨・主張