私学助成削減を決めた橋下知事を支持する意見について

10月23日に橋下知事が私学助成削減をめぐり高校生に「自己責任論」をゴリ押しした件を取り上げた橋下知事「日本は自己責任が原則」…私学助成の不安を訴える女子高生を泣かす - Transnational Historyにkmiuraさんから

2008-10-27 - kom’s log - ボクタチの闘争
http://d.hatena.ne.jp/kmiura/20081027#p1


というすばらしい内容のTBをもらったんだけど、そのコメ欄に出没したnanasiのコメントはネット上でよくみられる橋下支持者の意見とかなり重なるのではないかと思った。そこで自分の書いたコメントも含めてこちらに転載しておくことにする。


nanasi 2008/10/30 17:35

もし、高校でなく大学であったら貴方はどのように申されるでしょうか。現在大阪府では生徒不足で廃校になる府立高校もあるのだが、なぜ自分の偏差値より低い府立高校に入学しなかったのだろう。大阪は学区ごとに東大を目指すための進学校ともいえる高校から、大学に入る学力のない生徒ばかりが通う偏差値の低いところまで揃っているのである。それでありながら府立高校へ入らず私立へ入学した者にはたして学費が高い、助成金が〜いう資格があるのかはなはだ疑問である。またそのような結果を招いたのも誰の責任でもない。高校からは義務教育ではない。自身の責任である。甘えるのもたいがいにすべき。

dj19 2008/10/30 21:24

nanasi
馬鹿も休み休み言いたまえ。


>なぜ自分の偏差値より低い府立高校に入学しなかったのだろう


リンクされてる動画のなかで生徒達が「教師に入れる学校が私立しかないといわれた」と言ってるだろ。

私立>公立という勝手な思い込みを前提としているようだが大阪では公立>私立。
http://d.hatena.ne.jp/Uruchi/20081025/p1

dj19 2008/10/30 22:18

nanasi
>そのような結果を招いたのも誰の責任でもない。高校からは義務教育ではない。自身の責任である。


高等学校等への進学率は最近では98%に達しようとする状況では、高校教育は事実上の「義務教育」と化している。そして日本では約3割の子ども達が高校教育を私立高校に「依存」している状況である。高等学校教育が事実上、必要不可欠な公教育として機能しており公教育を平等に与える本来的な責務が国家・政府・行政にある(憲法、第26条の国民は「ひとしく教育を受ける権利」。教育基本法、第4条の「すべての国民は……経済的地位……によって教育上差別されない」)ならば比率にして約3割の私学生徒とその保護者は「不当に割高な負担を強いられている」ともいえるでしょう。


平成17年度学校基本調査 - 文部科学省
http://211.120.54.153/b_menu/toukei/001/04073001/001.htm
中学校から高等学校等(高等学校・中等教育学校後期課程・盲・聾(ろう)・養護学校高等部の本科・別科及び高等専門学校)への進学率(通信制課程を含む)は97.6パーセント。就職率は0.7パーセント。


学校教育費の国際比較
http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/3950.html
日本の教育対する公的負担額は世界でも最低レベル。


(ここまで)


私学助成削減を決めた橋下知事を支持する意見って「府立高校に入れたのに府立が嫌で私立へ入学したんだろ!甘えるな!」といった自分勝手な思い込みを前提としている場合が多いように感じるんだけど。
あと、上にリンクの貼ってある「学校教育費の国際比較」をみてもらえばわかるけど日本での教育対する私的負担額はかなりの高額で、公的負担額は世界でも最低レベルだったりします。橋下知事が本気で大阪の子ども達の学力を心配しているなら、やるべきことは私立への助成金削減ではなく、収入の少ない家庭への教育費負担軽減を行ない、こういった生徒達の学習権をまず保障してあげることではないかと思います。


ちなみに、日本では約3割の子ども達が高校教育を私立に依存しているというソースはこちら。(橋下知事の「大阪維新プログラム案」では私学への補助金削減率は小中学校25%、高校・専修学校10%、幼稚園5%、だそうです。)

wikipedia:私立学校

私立学校の割合

幼稚園(59.2%:79.1%)
小学校(0.8%:0.9%)
中学校(6.3%:6.2%)
高等学校(24.2%:29.3%)

(校種(学校数比率:学生数比率)、2003年)

ここからは「自己責任論」について。


実は他にも多くのTBをもらったんだけど、その中で「自己責任論」についてとても共感した箇所があったので紹介することにする。

ネットカフェ難民と貧困ニッポン』で著者の水島宏明さんが次のように言っている。

政府や財界が「自己責任論」を言うとき、よくよく注意した方が良い。そこには必ずと言ってよいほど「公の責任放棄」が隠されている。
橋下知事「日本は自己責任が原則」…私学助成の不安を訴える女子高生を泣かす | 時の河のブログ


ネオリベ系の権力者が「あなたは、まだ努力が足らない。」という言葉を使うときにも同じ指摘ができるのではないだろうか。