嘘と偽りに満ちた稲田朋美の主張

産経「正論」に載った*1稲田朋美議員のひどいコラムを見つけたんでツッコミ入れてみました。
4/9 http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080409/trd0804090413003-n1.htm
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/opinion/136196/
稲田議員は

■助成の妥当性だけを問うた

表現・言論の自由が保障されたわが国において、たとえ政治的、宗教的な宣伝意図のある映画を製作しようと公開しようと自由である。今回、映画『靖国 YASUKUNI』(李纓監督)の一部映画館での上映中止をめぐって私が批判の矢面に立たされている。私たちが問題にしたのは、この映画自体ではない。そこに文化庁所管の日本芸術文化振興会が750万円の公的助成をしたこと、その一点についてである。

と言いながらこの後

≪歪曲された私の意図≫
私も弁護士の立場から靖国神社の応援団として裁判にかかわったが、原告らは一貫して「靖国神社は、死ねば神になると国民をだまして侵略戦争に赴かせ、天皇のために死ぬ国民をつくるための装置であった」と主張していた。映画からは同様のメッセージが強く感じられる。

映画の最後で、いわゆる南京大虐殺にまつわるとされる真偽不明の写真が多数映し出され、その合間に靖国神社に参拝される若かりし日の昭和天皇のお姿や当時の国民の様子などを織り交ぜ、巧みにそのメッセージを伝えている。

私は、大虐殺の象徴とされる百人斬り競争で戦犯として処刑された少尉の遺族が、百人斬りは創作であり虚偽であることを理由に提起した裁判の代理人もつとめた。遺族らに対する人格権侵害は認められなかったが、判決理由の中で「*2百人斬りの記事の内容を信用することができず…甚だ疑わしい」とされた。ところが映画では百人斬りの新聞記事を紹介し、「靖国刀」をクローズアップし、日本軍人が日本刀で残虐行為をしたとのメッセージを伝えている。

と、みずからのイデオロギーを絡め映画の内容を問題視する発言をこれでもか、というぐらいしています。しかも、これらの発言をアリバイ的な「助成の妥当性」という言葉で正当化しながら、映画「靖国」(以下「靖国」)は“政治的宣伝意図”があるから助成金は問題だ、と決め付けているんですが、「靖国」について毎日新聞の記事には、


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080407-00000002-maiall-soci
カメラは日本在住19年に及ぶ李纓監督が10年にわたり見つめた神社境内の現実を映し出す。「イデオロギー的見方を打ち消すためにナレーションを一切排除」(李監督)する手法が全編を貫いている


と説明がされています。もしかしたら稲田議員には

靖国」には政治的宣伝意図がないのに、靖国神社自体が追悼のための宗教施設という領域を越えた「先の大戦は正しい聖戦でした」とする政治的な宣伝(プロパガンダ)施設であるために政治的宣伝意図があると映ってしまっているのかもしれませんね。まぁそこらへんを意図的に混同させることでミスリードを狙い読者を騙そうとしているんだろうけど、今どきそんな手法に騙されるのは愛国オナニーiza!ブロガーぐらいじゃないのかね。

発端は一部週刊誌が「反日映画『靖国』は日本の助成金750万円で作られた」と報じたことだった。試写会を見た複数の友人からは、この映画に弁護士時代の私が映っているとも伝えられた。もちろん私は、この映画で観客の目にさらされることを同意したことはなかった。

ちょっ この大和撫子セコすぎる(笑)
右翼の稲田議員まで映ってるなら「靖国」ってスゲー中立的でバランスのとれた映画なんじゃね、と思ったぞ。

そこで2月に、私もメンバーである自民党若手議員の「伝統と創造の会」(「伝創会」)で助成金支出の妥当性を検討することになり、文化庁に上映を希望した。当初、文化庁から映画フィルムを借りて上映するとして、日時場所も決めたが、その後製作会社が貸し出しを拒否する。そして文化庁協力と書かれた国会議員向け試写会(主催者不明)の案内が配布され、伝創会の上映会は中止に追い込まれた。

朝日新聞が報じたような「(私が)事前の(公開前)試写を求めた」という事実は断じてない。助成金を問題にする前提として対象となる映画を見たいと思うのは当然であり、映画の「公開」について問題にする意思は全くなかったし、今もない。「事前の試写を求めた」という歪曲(わいきょく)について朝日に訂正を求めているが、いまだ訂正はない。

え……と、え??
何度も読み返してみたんですが、間違いなく試写を要求してますよね。しかも公開後ではなく公開前に要求するという検閲まがいの行為で……。
それに、「事前の試写を求めた」と、ほぼすべての新聞が書いていたと思うんですがなぜ朝日だけなんでしょう。ちなみにこの試写についてアルゴピクチャーズの岡田社長は



『去年の10月、文化庁(の職員)が来て、「試写会をやってほしい。(フィルムの)プリントを貸して欲しい」と言われた。「特定の試写がしたい」と言うので、「どんな試写か?」と聞くと、「国会議員」との答えだった。それは誰なのか聞いたら、「稲田朋美さんら」ということだった。』
と証言しています。岡田社長の証言は、稲田議員の「していない」発言と真っ向から対立するものだ。岡田証言は、試写の要求が、稲田議員→文化庁→岡田社長というルートで行われたことを事実関係で裏付けている。

これらを総合的に判断すると、「靖国」が「日本映画」であり「政治的宣伝意図がない」とし、助成金を支出したことに妥当性はない。

5月号の「世界」の中で監督・李纓(リ・イン)氏はこのように語っています。
彼女(稲田議員)がこの映画への助成金を問題視しているのは非常に不思議なことです。それは一種の政治的な審査以外のなにものでもないでしょう。(中略)芸術文化振興基金として申請を受け付け、審議を行ない、助成金の支給を決定するプロセスはすべて終了しています。そのうえに彼女が重ねて審査を加える必要はありません。この作品に対する不快感は別の形で表現すればいいことです。(中略)彼女がやっていることは、日本の多様な表現を支えるシステム、芸術文化の振興事業に対する挑戦だと言えるでしょう。試写会で実際にこの作品を見終えても、彼女はまだ助成金について問題にしているようですが、そうであれば、もう彼女が芸術文化振興基金の審査員になって、すべての映画を「反日的」ではないか審査するしかないでしょうね。それがすなわち検閲ということなのですが。(p224.225より)

もうどっちが共産主義国出身なのか間違えちゃうよね(笑)

私は弁護士出身の政治家として、民主政治の根幹である表現の自由を誰よりも大切に考えている。だからこそ人権擁護法案にも反対の論陣を張っている。表現や言論の自由が最大限尊重されなければならないのは民主政治の過程に奉仕するからであり、表現の自由の名のもとに政治家の言論を封殺しようとすることは背理である。(いなだ ともみ=衆議院議員、弁護士)

( ゚Д゚)ハァ!?
なんか最後の悪あがきといった感じで白を黒と言いくるめていますが、そもそも、稲田議員(政治家)の言論を封殺しようとしている人なんてどこにもいないのでその主張、間違ってますよ。道理に背く自分勝手な妄想はやめましょうね。どんなに誤魔化しても国会議員の名前を利用して事前試写会を強要し問題化させたことが右翼を喜ばせただけで上映中止に至る圧力を助長しただけという経緯は消えませんよ。

関連リンク

稲田朋美サンプロへの出演を拒否
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20080406/1207448638
映画 『靖国YASUKUNI』上映中止を巡って、田原総一朗サンプロ)も稲田朋美を批判(YouTube動画あり)
http://minnie111.blog40.fc2.com/blog-entry-859.html

【追記】
稲田朋美氏メディア界を占拠し反論(ただし新聞は産経、TVはチャンネル桜ですが。)

コメ欄にてJodorowskyさんに教えてもらったんですが、4/6のサンプロ、4/7のNEWS23と出演をかたくなに拒否した稲田朋美氏ですが4/7のチャンネル桜(公然と嘘をつくDQN系右翼偏向番組)には水島社長と仲良く出演してました(笑)

http://www.ch-sakura.jp/hodo/election.html?id=521
ニコニコ動画http://www.nicovideo.jp/watch/sm2937013

*1:日本会議国会議員懇談会事務局次長。国会議員懇談会「伝統と創造の会」会長。正しい日本を創る会会員。みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会神道政治連盟国会議員懇談会に所属。(ウィキより)

*2:都合の良い判決文の前半部分だけを切り抜いて紹介していますが、後半部分には「しかしながら,その競争の内実が本件日日記事の内容とは異なるものであったとしても,次の諸点に照らせば,両少尉が,南京攻略戦において軍務に服する過程で,当時としては,「百人斬り貌争」として新聞報道されることに違和感を持たない競争をした事実自体を否定することはできず,本件日日記事の「百人斬り競争」を新聞記者の創作記事であり,全くの虚偽であると認めることはできない」と書いてあります。(参照)