読者を欺き続けるデマゴーグ・古森義久

日本会議広島などが原爆記念日の8月6日に広島市で「ヒロシマの平和を疑う〜田母神俊雄氏が語る、広島発真の平和メッセージ」という講演会を計画しているという。
この事実を知った広島市長・秋葉忠利氏は講演をやめる事までは求めないとしながらも、「遺族の悲しみを増す結果となりかねない」として、せめて8月6日の原爆記念日にあわせて講演をすることだけは避けて欲しいと申し入れているそうだ。
当然のことだろう。「ヒロシマの平和を疑う」などという、これほど亡くなった方やその遺族、そして、存命中の被爆者を、愚弄、冒涜する演題はないのだから。

一方、

この件を知った、柔道家兼自称まとも派の産経新聞記者・古森義久氏は、自身のブログで

6/30 秋葉忠利広島市長が言論抑圧か――市長の反核運動の偏りを問う - ステージ風発:イザ!
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1109747/

今回の騒ぎの背後には秋葉市長が長年、核廃絶を主張する際、

中国や北朝鮮核兵器を非難せず、日本の同盟国のアメリカの核だけを廃絶の対象にあげてきたという経緯があります。

秋葉氏に限らず、日本の左翼の反核運動には年来、政治的な偏りが顕著でした。

このことを私は7年ほど前にも書きました。

と、自身の偏見をいつものように棚に上げし、わざわざ7年前のコラムを2つ引っ張り出し
2002年12月29日【緯度経度】「北」には触れぬ“反核運動” / ワシントン 古森義久(以下略)
2003年01月09日【産経抄】(以下略)

だいぶ古い話ではあります。
しかし秋葉忠利氏の言動ということで、いまここに再現しました。

少なくとも2002年の秋や冬の時点で秋葉氏が中国や北朝鮮核兵器をはっきり名指しで非難したり、その廃絶を求めるということはありませんでした。

私が記事に書いたアメリカン大学での集いでも、秋葉氏は北朝鮮や中国の核兵器にはっきり言及することはありませんでした。

と、

広島市秋葉忠利市長や、日本の左翼・反核平和団体は、中国や北朝鮮核兵器に抗議しないで、アメリカの核兵器ばかり非難している!

などという、産経新聞などの保守系メディアが、毎年8月が近くなると蒸し返すデマを垂れ流し、さらに、コメ欄では原爆死没者慰霊碑の主語「人類」をいまだに捏造するなど、読者を平然と欺くデマゴーグと化している。

あまりにひどいので、scopedogさんのこちらのエントリ『反核運動に対する右翼の言いがかり - 誰かの妄想・はてなブログ版』なんかを参考にさせてもらって、コメント欄でデマや捏造を指摘したのですが、1時間もしないうちに、コメントは削除されてしまいました。(もちろん、いまだに訂正はされていません。)そんなわけで、削除されたコメントをこちらに転載しておくことにします。


(魚拓)http://s03.megalodon.jp/2009-0702-2021-49/komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/1109747/

2009/07/02 19:25 Commented by dj19 さん

To 古森義久 さん


>少なくとも2002年の秋や冬の時点で秋葉氏が中国や北朝鮮核兵器
>はっきり名指しで非難したり、その廃絶を求めるということはありませんでした


あたりまえです。その時期(2002年秋冬)に、中国は核実験を行って
いませんし、北朝鮮はその時期まだ核実験すら行っていないのだから。
悪質な印象操作で読者を欺いてばかりいて恥ずかしくないのですか。


北朝鮮が初めて(1回目)の核実験を実施したのは2006年10月9日
ですが、広島市長・秋葉忠利氏は、核実験前と核実験後に抗議しています。


北朝鮮の核実験実施の声明に対する抗議文(2006.10.5)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1160116238168/index.html
北朝鮮の核実験実施の発表に対する抗議文(2006.10.10)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1160464275794/index.html
北朝鮮の第2回核実験に対する抗議文(2009.5.26)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1243334834935/index.html



■中国が最後に核実験を実施したのは1996年ですが、その際、前市長の
平岡敬氏は広島市として抗議しています。


中国の核実験に対する抗議文(1996.7.29)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111568514211/index.html
中国の核実験に対する抗議文(1996.6.8)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111569429317/index.html

2009/07/02 19:27 Commented by dj19 さん

To 古森義久 さん


>碑文の主語は誰なのでしょうか。
>日本なのか、日本国民なのか、広島市民なのか。
>いずれにしても原爆を落とした相手への非難がありませんね。


碑文の主語は「人類」です。いい加減なことを書く前に、少しは自分で調べて
正確なことを書くようにしてください。ジャーナリストを自称するなら。


それとも、古森氏は性質の悪い一部右派が吹聴している「主語が不明確な碑文」
というデマを、わざと広めているのでしょうか。


広島市HP:慰霊碑と藁人形 「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の意味
広島市メールマガジン第104号掲載(2007年(平成19年)7月25日発行)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1185346372921/index.html
===
原爆死没者慰霊碑の『過ちは繰返しませぬから』をありがたがる人たちに久間
発言を非難する資格はない」という意見がありました。つまり、「慰霊碑は日本の
『過ち』を認めているではないか。日本の『過ち』が原爆投下を招いたと考えて
いる人が久間発言を批判するのはおかしい」という理屈です。
(中略)
広島市の公式見解では、「過ちは繰返さない」という文章の主語は「人類」
です。碑前に立つ人間一人ひとりが、人類の一員として「人類は過ちを繰返
さない」と主体的に誓うこと が未来の世界平和を創り出す上で、何よりも
大切であるという認識を示しています。
===

2009/07/02 20:20 Commented by dj19 さん

To 古森義久 さん


>私が記事に書いたアメリカン大学での集いでも、秋葉氏は北朝鮮や中国の核兵器
>にはっきり言及することはありませんでした。


あなたが取材した、2002年10月17日の「広がる核の脅威」と題する講演で
言及がなかっただけでしょうに。


広島市長・秋葉忠利氏は中国を訪問して胡錦濤に核放棄を公式に要求した
唯一の日本の公人だと知っていて、そのようなことを書いているのですか


秋葉忠利氏は以下の核保有国に訪問し政府関係者に直接、核兵器廃絶を
要請していますよ。*1


■中国・胡錦涛国家主席核廃絶を求める要請文(2004.9.15)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111122794312/index.html
シラク大統領あて核兵器廃絶と広島訪問等を求める要請文(2005.9.22)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1129188324864/index.html
英国・ブレア首相へ核廃絶を求める要請文(2001.10.23)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111375667633/index.html
ロシア・プーチン大統領核廃絶を求める要請文(2002.9.5)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111374697554/index.html
在インド日本大使館を通じてバジパイ首相に「核兵器廃絶とパキスタンとの和解を求める要請書」(2003.10)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1111132160997/index.html
ブッシュ大統領あて核兵器廃絶と広島訪問を求める要請文(2005.5.5)
http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/0000000000000/1129187422384/index.html

*1:これは、アクション21「核保有国への平和メッセージの伝達」:広島市HPと呼ばれるもので、核軍縮の鍵を握る核保有国を広島市長が訪問し、国会議員や主要大学の学長など政府の政策や世論に影響を与え得る人々に直接、核兵器廃絶について要請するとともに、マスメディアを通じて被爆者のメッセージを国民に知らせることなどにより、核兵器の廃絶を求める世論をさらに喚起するアクションです。