橋下徹が産経を愛する人へ捧げる朝日バッシング(笑):追記あり

また橋下かよ
きのうStiffmuscleさんのブログ(こちら)で知って、マジでぶち切れそうになったんだけど、まぁ最近いそがしいんでスルーしようかなぁなんて思ってたら、今日もアホなことを言ったようだ。なんなだこの低レベルな発言は*1。といってもインドア保守のizaブロガーはいつもの燃料が投下され大喜びしているようだけど…*2


まず昨日の発言。

10/19 朝日新聞は「悪口ばかり」橋下知事自衛隊式典で発言 – 京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2008101900119&genre=A2&area=O10

 大阪府橋下徹知事は19日、兵庫県伊丹市で開かれた陸上自衛隊の記念式典に出席し、祝辞の中で「人の悪口ばかり言ってる朝日新聞のような大人が増えれば、日本はだめになる」と発言した。

 同日午後、記者団に対し、3日付の同紙朝刊に掲載された「弁護士資格を返上しては」と題する社説への批判だと説明。「僕は権力者だから徹底批判してもらって構わないが、一線を越えたからかい半分の批判は批判ではない。僕が資格を返上したら、(事務所の)従業員はどうなるのかというイマジネーションはあるのか」と述べた。

 橋下知事は2日、山口県光市の母子殺害事件弁護団への懲戒請求を呼び掛けたテレビ番組での発言をめぐり敗訴。朝日新聞は翌3日の朝刊に「判決を真剣に受け止めるならば、控訴をしないだけでなく、弁護士の資格を返上してはどうか」などとする社説を掲載した。
 橋下知事は公の場で発言した妥当性を問われ、「いいんじゃないか。朝日新聞も何様なのか知らないが、800万の部数でああいうことを言うわけだから」と述べた。(共同通信


続いて今日の発言。

10/20 「朝日が早くなくなれば…」 橋下知事が批判エスカレート – 産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/081020/lcl0810202014006-n1.htm

 大阪府橋下徹知事が、3日付の朝日新聞の「>橋下TV発言 弁護士資格を返上しては」と題した社説を批判した問題で、橋下知事は20日、出張先の東京で報道陣の取材に応じ、「朝日が早くなくなれば世の中のためになる」などと発言。“朝日批判”をさらにエスカレートさせた。

 橋下知事は、19日の陸上自衛隊記念行事の祝辞で「人の悪口を言う朝日新聞のような大人が増えれば日本は駄目になる」と述べた真意について「命がけで頑張っている自衛隊に敬意を表さないといけない場で、その対極にいる愚かな朝日を批判するのが最適だと思った」と説明。

 テレビでの発言をもとに弁護士資格の返上を提案した社説については「朝日はからかい半分で、事実誤認もあり今すぐ廃業すべきだ」と述べた。

 さらに、全国学力テストについて、大阪府内の市町村別のデータを朝日新聞が掲載しなかったことについては「自分たちが良識だと思い上がって、何でも反権力なのが朝日。だから、僕が出そうとしたデータを出さなかった」と語るなど、批判は止まらなかった。


で、問題にされている朝日の社説。

10/3 橋下TV発言 弁護士資格を返上しては – 朝日新聞
http://massacre.s59.xrea.com/othercgi/shasetsu/index.xcg?event=791

 歯切れのよさで人気のある橋下徹大阪府知事のタレント弁護士時代の発言に、「弁護士失格」といわんばかりの厳しい判決が言い渡された。

 山口県光市の母子殺害事件をめぐり、橋下氏は昨春、民放のテレビ番組で、少年だった被告の弁護団を批判し、「弁護団を許せないと思うんだったら懲戒請求をかけてもらいたい」と視聴者に呼びかけた。

 その発言をきっかけに大量の懲戒請求を受けた弁護団が損害賠償を求めた裁判で、広島地裁は橋下氏に総額800万円の支払いを命じた。判決で「少数派の基本的人権を保護する弁護士の使命や職責を正しく理解していない」とまで言われたのだから、橋下氏は深く恥じなければならない。

 この事件では、少年は一、二審で起訴事実を認め、無期懲役の判決を受けた。だが、差し戻しの控訴審で殺意や強姦(ごうかん)目的を否認した。

 少年の新たな主張について、橋下氏は大阪の読売テレビ制作の番組で、弁護団が組み立てたとしか考えられないと批判した。弁護団の懲戒を弁護士会に請求するよう呼びかけ、「一斉にかけてくださったら弁護士会も処分出さないわけにはいかない」と続けた。

 こうした橋下氏の発言について、広島地裁は次のように判断した。刑事事件で被告が主張を変えることはしばしばある。その主張を弁護団が創作したかどうかは、橋下氏が弁護士であれば速断を避けるべきだった。発言は根拠がなく、名誉棄損にあたる――。きわめて常識的な判断だ。

 そもそも橋下氏は、みずから携わってきた弁護士の責任をわかっていないのではないか。弁護士は被告の利益や権利を守るのが仕事である。弁護団の方針が世間の常識にそぐわず、気に入らないからといって、懲戒請求をしようとあおるのは、弁護士のやることではない。

 光市の事件では、殺意の否認に転じた被告・弁護団を一方的に非難するテレビ報道などが相次いだ。そうした番組作りについて、放送倫理・番組向上機構BPO)の放送倫理検証委員会は公正性の原則からはずれるとして、厳しく批判した。

 偏った番組作りをした放送局が許されないのは当然だが、法律の専門家として出演した橋下氏の責任はさらに重い。問題の発言をきっかけに、ネット上で弁護団への懲戒請求の動きが広がり、懲戒請求は全国で計8千件を超える異常な事態になった。

 橋下氏は判決後、弁護団に謝罪する一方で、控訴する意向を示した。判決を真剣に受け止めるならば、控訴をしないだけでなく、弁護士の資格を返上してはどうか。謝罪が形ばかりのものとみられれば、知事としての資質にも疑問が投げかけられるだろう。


以上が朝日の社説なんだけど、判決文を読めば、「弁護士資格を返上しては」という朝日の社説は当然のことを言っているではないだろうかと思う。

光市事件を巡り橋下徹弁護士がテレビ番組で懲戒請求を視聴者に呼びかけ、被告の弁護団が業務に支障が出たとして損害賠償を求めた訴訟の判決では、弁護士について「被告のため最善の弁護活動をする使命がある」とした上で、光市事件の弁護団について「被告人の意向に沿ったもので弁護士の品位を失う行動ではなく、懲戒の理由には当たらない」と認定し、橋下弁護士の発言は原告の客観的評価を低下させたと名誉棄損を認めているし。

多くの懲戒請求がなされたことについて「規模によっては一定の損害を与えることは可能。それを予見すべき場合には、請求を促すことが不法行為になる場合もある」と発言の違法性を指摘しているのだ。
(参考:広島地裁が橋下氏の光市弁護団懲戒請求発言に賠償命令の判決 - Afternoon Cafe


以下は、橋下弁護士懲戒請求訴訟問題を取り上げたブログの中から重要な指摘をしている部分を抜き出してみた。「中略部分」は断りなしに「……」と表記させてもらった。


「橋下劇場」の原点としての光市事件懲戒請求扇動 - 世界の片隅でニュースを読む
http://sekakata.exblog.jp/7537834/

判決骨子は次の通り(毎日新聞2008/10/02 10:21)。

◆名誉棄損にあたるか
 懲戒請求を呼びかける発言は、原告の弁護士としての客観的評価を低下させる。
◆懲戒制度の趣旨
 弁護士は少数派の基本的人権を保護すべき使命も有する。多数から批判されたことをもって、懲戒されることがあってはならない。
◆発言と損害の因果関係
 発言と懲戒請求の因果関係は明らか。
◆損害の有無と程度
  懲戒請求で原告は相応の事務負担を必要とし、精神的被害を被った。いずれも弁護士として相応の知識・経験を有すべき被告の行為でもたらされた。

……(判決では)懲戒請求の本来の趣旨を逸脱し、単にバッシングを楽しむために行われた、法的にも道義的にも根拠のない請求を断罪(した。)

……素朴な敵愾心や嫉妬心を煽り、「安心して攻撃できる公認の敵」への憎悪をかき立てる橋下氏の扇動方法は、古来使い古されてきたものだ……残念ながら橋下氏はすでに多くの人々にとって「何をやっても許されてしまう人」になってしまっている。今回の判決をもってしても「橋下信仰」は弱まるどころか、むしろ「敵」に対する憎悪が再び高まり強化されるだろうが、少なくとも公的には橋下氏の誤りは永遠に記録される。何よりも今後別の誰かが懲戒制度を悪用して同じような真似をすることが難しくなる。懲戒請求司法権の独立を脅かすバッシングという名のテロの道具にしてはならない、という当たり前のことを改めて明示した点にこそ、この訴訟の最大の意義があるだろう。


橋下徹弁護士まずは地裁で敗訴、しかし控訴の意向 - 法華狼の日記
http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081003/1223009875

……そもそも「三審制」だから控訴するという論理は、橋下弁護士だけは使ってはいけない。制度を濫用して裁判を戦うことは、原告に無用な負担をかけることではなかったのか。控訴することをちらつかせた時点で、光市母子殺害事件弁護団の活動ほとんどに対して、批判することができなくなる。判決が不当と思わないなら素直に受け入れればいいだけだろうに。

……念のために解説しておくと、懲戒請求自体は日弁連も受け取った。精査して、通らない主張だと結論づけたのだ。差し戻し審以降から弁護団へ入った弁護士に対して、最高裁欠席を懲戒事由にするような懲戒請求ばかりでは退けられるのが当たり前。テンプレートにサインする安易な懲戒請求ばかりだったから、懲戒事由も事実誤認だらけだった。請求者の存在が確認できず、偽名と思われる例すらあった。


ブーメラン♪ ブーメラン♪


コメ欄でも書いたけど社説で「橋下徹は弁護士失格」と書いたのは、朝日だけではないんだよね。橋下徹がバッシングの矛先を朝日だけに絞っているのは、そうすることで自身の発言への批判より賛同の方が多くなるだろう、という読みと計算があるんではないかと思うのだが。


このエントリはいそいで書いたので後から追記すると思う。とりあえず書きかけということでこのエントリは10月21日19:00に追記と一部訂正を行ないました。)

*1:自分は朝日読者ではないので正直、朝日なんてどうでもいいと思っていて、問題にしたいのは誰が言ったかではなく、何を言ったかなんで勘違いコメントをしてこないようお願いします。

*2:10/21現在iza!では、橋下知事朝日新聞のような大人増えれば日本はダメになる」に161件(iza!ブログ94件)もの大量TBがついています。普段のTB数は20〜30前後が普通なんですごい数ですねぇ。こちら:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/188157/tb/